2017年3月28日

Mr.Childrenの『花 Memento-Mori』を初めて聴いたときのことを思い出す、藤原新也の対談・小文集 『沈思彷徨』


Mr.Childrenのボーカル・桜井和寿の、
「なんのことわりもなくシングルのサブタイトルにして、すみません」
という謝罪から始まる対談が掲載されている。

藤原新也といえば写真家である、と俺は思っているが、わりと多くの文章を書いている人でもある。本書は、そんな彼の対談や雑誌に載ったような短文を集めたもので、対談相手の一人がMr.Childrenの桜井和寿だ。

藤原新也の写真集『メメント・モリ』を初めて読んだのは、ミスチルの『花 Memento-Mori』がリリースされる1年ほど前だった。『花』を初めて聴いた時、
「あれ、これはどこかで……?」
とデジャブに襲われた。歌のタイトルを見ると「Memento-Mori」とあり、合点がいった。

桜井の謝罪に対し、藤原は「この言葉は僕が作ったものではないですから」と答えている。そう、「Memento-Mori」は藤原が生み出した言葉ではなく、古代ローマでも使われていた警句のようなものだという。その意味は「死を想え」あるいは「死を忘れるな」。

藤原の同タイトル写真集には、インドの川べりで犬が人間の死体を食べている写真がおさめられている。

「人間は犬に食われるほど自由だ」

という一文が添えられたその写真は、20歳そこそこの俺には衝撃的だった。この写真集は、何度も何度も読み直した。

その後、藤原新也の『東京漂流』も買ってみたが、これはなんだか面倒くさいことをこねくり回して書いているような印象で、あまり記憶に残らなかった。いま読むと、もしかしたら違う感想を抱くのかもしれないが。

Mr.Childrenの『花』が好きな人は、一度は写真集『Memento-Mori』も読んでみることをお勧めする。

ところで、この写真集を初めて読んでから15年後、手もとになかったので買い直した。そして、それから5年後、すでに手もとにない。いったいどこに、誰のもとに行ったのだろう?

必要な時に、必要な人のところに現れ、ふっといなくなる。

『メメント・モリ』は、そんな本なのかもしれない。

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