2012年7月14日

『開運!なんでも鑑定団』で見えてくる詐欺にひっかかる心理

『開運!なんでも鑑定団』という番組が好きで、特に中島誠之助さんの熱烈なファンである。一度、たまたま入った京都の骨董屋で中島さんをお見かけして、直接にいろいろ質問した経験でもあれば良いなと思っているくらいだ。

ところで、この番組を観ていると、詐欺にひっかかる心理というものが見えてくる。

50万円で買った壺がニセモノで1万円だったとか、100万円で譲ってもらった掛軸が2万円もしないものだったとか、そういう痛い失敗をたくさん見かけるが、それ自体は大したことはない。骨董や古美術なんてものは、買った人が満足すればそれで良いのだから、彼らが詐欺にあったかどうかは分からない。

問題は、観客のほうだ。出張鑑定に登場した60歳男性のAさんが、30万円で購入した湯のみを鑑定に出したとする。Aさんは、この湯のみの価値を分からない妻や子どもらへの愚痴を鼻息荒く語る。自己評価額も、自信満々の100万円。中島誠之助さんが湯のみを手にとり、いざ鑑定へ。固唾をのんで見守る観客。松尾伴内が声高に合図する。
「鑑定結果は……、じゃかじゃん!!」
そこに書かれた赤文字は……、
「5万えーん!!」
松尾伴内の残念さをこめた声。会場内につめかけた人たちの失笑が響き渡る。

ここ。問題は、ここである。30万円で湯のみを買って、その自己評価額は100万円だったが、プロの評価額は5万円だった。 観ている側としては、思わず思う。
「やすーい!!」
いやいや、ちょっと待て。冷静に考えてみると、5万円の湯のみはかなり高価だ。家にあったら、使わずに飾る気がする。それが一瞬、とても安く感じられる。もしこのあと、この湯のみを1万円で売ると言われたら、
「実際にプロが5万円と鑑定したものだし、買っても良いかな」
なんて思うんじゃないだろうか。たとえ、その湯のみが本当は1000円くらいのものだったとしても……。

詐欺とは、こういう心理を巧みに利用して行なわれているのだと思う。

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